運動が血糖値を下げる仕組み
運動をすることによって、比較的すぐに血糖値は下がる傾向にあります。その理由は、運動をすると、血液中の糖を筋肉がエネルギーとして消費するからです。
運動すると筋肉が糖を取り込む
体の筋肉には「GLUT4(グルット4)」という、糖を運ぶトラックがあります。普段は筋肉の細胞の中に隠れているのですが、運動をすると、このGLUT4が細胞の表に出てきて、血液中の糖をどんどん筋肉の中に運び込んでくれます。
これはインスリンという血糖を下げるホルモンとは別の仕組みで働くため、糖尿病の方でも血糖が下がります。
運動を続けると体質が変わる
また長期的に運動を行うと、体質が変化し、インスリンが効きやすくなる体になるため、より血糖が下がりやすくなります。
どんな運動をどれくらいすればいいの?
おすすめの運動は、有酸素運動です。ウォーキング、水泳、自転車など、継続してできるものを選んでみてください。運動の激しさとしては、少しきついくらいが目安です。少し息が切れるくらいの負荷をかけると体質が変わりやすくなりますよ。
週に150分程度の運動が糖尿病予防に非常に効果的であることがわかっています。これは1日30分の速足での歩行を週5日行うのと同じくらいの量です。
米国で行われた「糖尿病予防研究(Diabetes Prevention Program)」では、3,234人の糖尿病予備群の方々を対象に、週150分の速足歩行程度の運動と食事指導を組み合わせた結果、なんと糖尿病の発症を58%も抑えることができました。これは薬による予防(31%抑制)よりもはるかに高い効果です。
運動時間としては、1回に30分~60分程度を週に3回以上を心がけてみましょう。興味深いことに、研究では「運動の頻度」が血糖コントロールの改善に重要で、「運動の強さ」はそれほど影響しないことがわかっています。つまり、激しい運動を週1回するよりも、軽めの運動を週に何度も続ける方が効果的なのです。
しかし最初から頑張りすぎず、継続できる程度の負荷を続けるようにしましょう。
いつ運動するのが一番効果的?
いつ運動をするのが、一番血糖値を改善できるのでしょうか。実は、食べた後すぐに運動をすると血糖値が下がりやすいです。血糖値が高いと血管をボロボロにしてしまうため、食べ過ぎた・甘いものを食べ過ぎたということがあれば、ぜひ運動を少ししてみてください。
まとめ
運動療法は、糖尿病の治療において欠かせない大切な方法です。運動は、血糖を下げる効果と、体質が変わる効果があります。無理なく続けられる運動を継続すること、これを心がけてください。
