「口渇(こうかつ)感」や「喉の乾き」は、脱水による一般的な症状ではなく、もしかしたら糖尿病の悪化の症状かもしれません。喉の渇きは、実は多くの糖尿病を持っている方が、一番最初に感じやすい症状です。この症状にて知っておくと、早期発見と早期治療に結びつけることができます。
なぜ糖尿病で喉が渇く?
血糖値が高い状態になっていると、血液中の糖分が多くなり、血液の浸透圧が高くなります。この浸透圧が高い状態は人間にとって良くない状態なので、体は自然と余分な糖を腎臓をつかって尿として外に捨てます。この作用は、「浸透圧利尿」と言われます。
糖を体の外に捨てる時に、尿として水分も大量に外にでます。その結果、体の中の水分が少なくなり、脱水・すなわち血液の濃度が高くなるため、脳の中にある「喉が乾いたよーセンサー」(口渇中枢)が頑張ろうとします。この頑張りによって、人間は「喉が乾いた」と感じ、水分を摂ろうとします。
糖尿病における喉の乾き
糖尿病によって喉がかわくと、水分を飲んでも飲んでも、喉の乾きが改善しにくいです。なぜかというと、飲水した水分はすぐ尿として体の外にでてしまうため、体の中に水分を蓄えにくい状態になっているからです。血糖値が250mg/dL以上になると、口渇感が強く出ると言われています。
冷たい飲み物を大量に飲みたくなり、一日に水分を3リットル以上飲んでいるという方は要注意です。これだけ水分を摂取していると、頻尿になっていることが多く、安定した生活が送りにくくなってしまいます。
放置すると?
じつは、口渇感が出ている状態の糖尿病患者さんは、かなり重症な状態の可能性が高いです。糖尿病は症状が出ないことが最初は多いので、口渇感がでるまで糖尿病を放置しているかも・・・。糖尿病を放置すると、血管がボロボロになっていきます。
血管がボロボロになると、動脈硬化を悪化させて、重要な血管障害である脳梗塞や心筋梗塞を発症する可能性が高くなります。また、腎臓にも障害がうまれ、神経障害や網膜症といった三大合併症になってしまいます。口渇感がでたら、体が危険信号を発信していると思ってください。
適切な対応と受診の重要性
つよい口渇感を感じたときには、健康診断もしくは、医療機関で採血や尿検査をしましょう。糖尿病の診断がついたときは、運動や食事の改善を行い、それでも血糖の改善が見られない場合は、お薬による血糖コントロールを行います。血糖値が改善すると、口渇感は改善することが多いです。
喉の渇きという症状に注目し、糖尿病の早期発見・早期治療を!
