手足の感覚が鈍い・しびれる|糖尿病神経障害を調布市の内科が解説

足の裏や足先がジンジンする、手足の感覚がぼんやりして鈍い、スリッパを履いている感じが続く——こうした変化が左右の足に同じように現れているとき、その背景に糖尿病による神経の障害が隠れていることがあります。

糖尿病性神経障害の症状

手足のしびれや感覚の鈍さは、糖尿病の三大合併症の一つ「糖尿病神経障害」の代表的なサインです。しかも、三大合併症(神経障害・網膜症・腎症)の中で最も早い時期から現れやすいことが知られています。このページでは、調布市つつじヶ丘駅前内科クリニックが、なぜ糖尿病で神経が傷むのか、どう進行するのか、そしてどんなときに受診を考えるべきかを解説します。

なぜ糖尿病で手足の神経が傷むのか

糖尿病による神経障害の原因

高血糖の状態が長く続くと、末梢の神経は複数の経路から少しずつダメージを受けていきます。主な仕組みは次の3つが絡み合っていると考えられています。

代謝の異常(ポリオール代謝の亢進など) 血糖が高い状態が続くと、神経の細胞の中でブドウ糖が「ソルビトール」という物質に変換され、蓄積していきます(ポリオール代謝の亢進)。これに加え、タンパク質が糖と結びついて変性する「糖化」も進み、神経の働きが少しずつ損なわれていきます。

神経を養う血流の低下 高血糖は、神経に栄養と酸素を届けている細い血管(毛細血管)も傷つけます。血流が滞ると神経は必要な栄養を受け取れず、傷んだあとの回復も難しくなります。

酸化ストレスの増加 高血糖の状態では体内で酸化ストレスが高まり、これも神経細胞を傷めやすくする要因になります。

これらが重なることで、特に体の中で最も長い神経である足の神経から先に障害されやすく、症状は足先から左右対称に現れるのが特徴です(日本糖尿病学会「糖尿病診療ガイドライン2024」)。

「しびれ」から「感覚が鈍い」へ ― 進行のサインを見逃さない

糖尿病神経障害の感覚の症状には、実は順序があります。ここはとても大切なポイントです。

はじめのうちは、足先や足の裏に「ジンジン」「ピリピリ」といったしびれや痛みが現れます。これは神経が過敏になって起こる症状で、専門的には「陽性症状」と呼ばれます。

問題は、そこからさらに進んだときです。しびれや痛みを通り越して感覚そのものが鈍くなる、感じにくくなるという段階は「陰性症状」と呼ばれ、神経障害がより進行した時期にみられるサインとされています(日本内科学会雑誌 2019ほか)。

つまり、「最近しびれが減ってきた」「足の感覚がぼんやりして鈍い」という変化は、必ずしも良くなったのではなく、むしろ神経障害が進んでいる可能性があるということです。この点を知らずに「痛みが引いたから大丈夫」と放置してしまうことが、後述する足のトラブルにつながります。

感覚が鈍くなると、なぜ危険なのか

糖尿病神経障害の進行

足の感覚が鈍ると、痛みや熱さといった「体を守るための警告」が働きにくくなります。その結果、次のような深刻なトラブルに発展することがあります。

  • 傷ややけどに気づけない:小さな靴ずれ、低温やけど、画鋲を踏むといった怪我にも気づきにくくなります。
  • 潰瘍・感染:気づかないまま傷が悪化し、皮膚が深くえぐれた潰瘍や感染症を起こしやすくなります。糖尿病では傷が治りにくいことも、これに拍車をかけます。
  • 足の壊疽(えそ)・切断:感染や血流障害が重なると、組織が壊死してしまう壊疽に至り、最悪の場合、足を切断せざるをえないこともあります。

こうした足のトラブル(糖尿病足病変)は、神経障害・血流障害・感染が組み合わさって起こります。感覚が鈍っているという段階は、その入り口にあたるからこそ、早く気づくことが重要なのです。

糖尿病かどうかは、どう調べるのか

診察室では、特別な機械がなくてもできる簡単な検査で、神経障害の有無をある程度確認できます。実際、専門家の間では次のような「簡易診断基準」が用いられています(糖尿病性神経障害を考える会)。

糖尿病があり、他の原因による神経障害が否定できる場合に、次の3項目のうち2つ以上を満たすと「神経障害あり」と判断されます。

  1. 糖尿病神経障害によると思われる自覚症状(両足の足先・足裏のしびれ、痛み、異常感覚)
  2. 両側のアキレス腱反射の低下または消失
  3. 両側のうちくるぶしの振動覚の低下(128Hzの音叉で10秒未満)

とりわけアキレス腱反射の低下は、自覚症状よりも早い段階から現れやすいことが、東北地方の約15,000人を対象とした大規模調査でも報告されています(佐藤ら、糖尿病 2007)。「まだしびれる程度だから」と思っていても、検査では神経の変化が始まっていることがあるのです。

糖尿病以外にも、手足のしびれ・鈍さの原因はあります

手足の感覚の異常は、糖尿病だけで起こるわけではありません。次のような原因もあるため、自己判断せず、原因を見極めることが大切です。

  • 整形外科の病気(頸椎症、腰椎椎間板ヘルニア、手根管症候群など)
  • 末梢動脈疾患(足の血流の低下)
  • ビタミン(特にビタミンB群)の欠乏
  • 甲状腺の病気やその他の神経の病気

これらと糖尿病神経障害を見分けるためにも、しびれや感覚の鈍さが続く場合は、まず血糖値の状態を含めて医療機関で確認することをおすすめします。

症状が気になるときにできること

手足のしびれや感覚の鈍さが気になるときは、次のことを意識してみてください。

まず大切なのは、血糖の状態を確認することです。神経障害の進行を抑える最大の土台は、血糖のコントロールにあります。すでに糖尿病がある方は、良好な血糖管理を続けることが神経を守ることに直結します。

あわせて、足を毎日自分の目で見て確認する習慣(フットケア)も重要です。感覚が鈍っている分、目で見て傷や変化に気づくことが、足を守る手立てになります。保湿を心がけ、深爪や熱すぎるお湯を避けるなど、小さな注意の積み重ねが足のトラブルを防ぎます。適度な運動で血流を保つことも役立ちます。

調布市で手足のしびれ・糖尿病が気になる方へ

つつじヶ丘駅前内科クリニックは、京王線つつじヶ丘駅南口すぐの内科クリニックです。調布市内のほか、つつじヶ丘・仙川・柴崎・国領・狛江方面からも通院しやすい立地で、糖尿病や生活習慣病のご相談を承っています。

当院の院長は腎臓を専門とし、糖尿病をはじめとする生活習慣病を、合併症まで見据えて早期から診療することを大切にしています。手足のしびれや感覚の鈍さが続く方、健診で血糖値・HbA1cを指摘された方は、どうぞお気軽にご相談ください。まずは血液検査や診察で今の状態を確認し、これからの方針を一緒に考えていきます。ご予約はLINE・WEBから可能です。

参考文献・出典

  • 日本糖尿病学会(編・著)「糖尿病診療ガイドライン2024」
  • 糖尿病性神経障害を考える会「糖尿病性多発神経障害の簡易診断基準」
  • 佐藤譲、馬場正之、八木橋操六ほか「糖尿病神経障害の発症頻度と臨床診断におけるアキレス腱反射の意義―東北地方15,000人の実態調査―」糖尿病 2007;50(11):799-806.
  • 「糖尿病性神経障害の診断と治療」日本内科学会雑誌 2019;108(8):1538.