「糖尿病だけど、たまにはお酒を楽しみたい」
そんな思いを抱えている方は少なくないでしょう。友人との集まりなど、お酒は楽しみの一つでもあると思います。そこで、糖尿病とアルコールの関係について、正しい知識を持っておくことはとても大切です。
適度な飲酒は2型糖尿病のリスクを減少
2015年にに掲載された研究では、世界中の190万人のデータを解析しました。その結果、飲酒と2型糖尿病の発症率には、驚くべき関係があることが分かったのです。
研究によると、適度な飲酒は2型糖尿病のリスクを18%減少させる可能性があるとのことでした。
ただし、これには重要な条件があります。飲み過ぎは注意です。その「適度な飲酒量」とは、1日あたり10〜14グラムのアルコール量でした。具体的には、ビールなら中ジョッキ半分程度、ワインならグラス1杯程度です。
しかし、1日当たり63グラムを超えるアルコールを接種すると、逆に糖尿病のリスクが上昇しました。つまり、過度な飲酒は、むしろ健康に悪影響を及ぼす可能性があるのです。
すでに糖尿病の方は特に注意が必要
この研究は糖尿病の発症リスクについてですが、すでに糖尿病の方は、また状況が変わります。
実は、飲酒直後は血糖値が上がりますが、数時間後には逆に低血糖を引き起こすことがあります。特に空腹時の飲酒や、インスリンや血糖降下薬を使用している方は、低血糖のリスクが高まるため十分な注意が必要です。
安全にお酒を楽しむためのポイント
糖尿病の方がお酒と上手に付き合うためには、以下の点を守ることが大切です。
- 適量を守る
飲む場合は、1日あたりアルコール量20グラム以下(ビール中瓶1本程度、日本酒1合程度)を目安にしましょう。休肝日を設けることも大事です。 - 必ず食事と一緒に
空腹時の飲酒は低血糖のリスクを高めます。必ず食事を摂りながら、ゆっくりと飲むようにしましょう。 - 糖質の多いお酒に注意
ビールや甘いカクテル、日本酒などは糖質が多く含まれています。糖質オフのビールや焼酎、ウイスキーといった、糖質の少ないお酒を選びましょう。
楽しみながら健康を守る
糖尿病だからといって、人生の楽しみがないとつまらないとおもいます。正しい知識を持ち、適切な量を守れば、お酒を楽しむこともできます。
何よりも、定期的な検査と血糖コントロールを優先し、お酒はあくまで「ほどほどに」という意識を持つことが、長く健康的な生活を送りましょう。
参考文献
Knott C, Bell S, Britton A. Alcohol Consumption and the Risk of Type 2 Diabetes: A Systematic Review and Dose-Response Meta-analysis of More Than 1.9 Million Individuals From 38 Observational Studies. Diabetes Care. 2015;38(9):1804-1812.

