血糖が上がる・上がりやすい食べ物とは?医師が理由も解説

血糖値をうまく管理するには、「血糖を下げる食べ物」を知るのと同じくらい、「血糖を上げやすい食べ物」を知っておくことが大切です。今回は、なぜ血糖が上がるのかという仕組みから、とくに血糖を上げやすい食べ物、そしてそれらと上手に付き合うコツまでを、医学的な理由とあわせて解説します。「好きなものを我慢する」ためではなく、「同じ食べるなら、少しでも血糖にやさしく」というヒントとして読んでいただければと思います。

そもそも、なぜ血糖は上がるのか

食事にふくまれる糖質(炭水化物)は、体の中でブドウ糖に分解され、小腸から吸収されて血液に入ります。この血液中のブドウ糖の濃度が「血糖値」です。血糖値が上がると、膵臓からインスリンというホルモンが出て、糖を細胞にとり込み、血糖を下げようとします。

問題は、血糖の急上昇とインスリンの大量分泌が繰り返される生活を続けたときです。やがてインスリンの効きが悪くなり(インスリン抵抗性)、血糖が下がりにくい体質へと傾いていきます。これが進むと、糖尿病の発症につながります。つまり、血糖を「急激に上げない」食べ方こそが、糖尿病予防のカギなのです。

血糖を上げやすい食べ物

血糖を上げやすい4つの食べ物とその理由、甘い飲み物のリスクを示した図

同じ量を食べても、食品によって血糖の上がり方は大きく違います。一般に、糖質が多く、食物繊維が少なく、消化・吸収が速いものほど、血糖を急激に上げます。

この「血糖の上がりやすさ」を数値で表したものが、GI(グリセミック・インデックス)という指標です。GIが高い食品ほど、食後の血糖を速く大きく上げます。そして、GIの高い食事を続けている人は、そうでない人に比べて糖尿病などの生活習慣病になりやすいことが、多くの研究をまとめた解析で示されています。どの食べ物がGIを上げやすいのかを知っておくことが、血糖と上手に付き合う第一歩になります。

① お菓子

クッキー、ドーナツ、ケーキ、アイスクリームなどのお菓子は、砂糖や精製された小麦を多くふくみ、食物繊維がほとんどありません。しかも、やわらかく、細かく、ほとんど噛まずに飲み込めるものが多いため、消化・吸収がとても速く、血糖を一気に押し上げます。どうしても食べたいときは、チョコレートならカカオ70%以上の高カカオタイプを選ぶと、血糖の上がり方はいくぶん穏やかになります。

② 精製された炭水化物

白米、白いパン、小麦粉を使った食品などの「精製された炭水化物」は、食物繊維がそぎ落とされているため消化・吸収が速く、血糖を上げやすい代表格です。「白くてやわらかいもの」は血糖が上がりやすい、と覚えておくとよいでしょう。意外な落とし穴として、コンビニのおにぎりには砂糖が加えられているものもあり、注意が必要です。

③ 果物(とり方に注意)

果物にはブドウ糖や果糖などの糖分が多くふくまれています。果物そのものは食物繊維やビタミンも豊富ですが、とり方によって血糖への影響が変わります。とくに、食物繊維の少ない果汁(ジュース)やドライフルーツは吸収が速く、血糖を急に上げます。バナナ・ぶどう・パイナップル・マンゴーなどは比較的糖分が多い果物です。丸ごと・皮ごと食べる、1日1〜2種類程度にとどめる、空腹時ではなく食後のデザートにする、ヨーグルトやナッツなどのたんぱく質・脂質と一緒にとる――こうした工夫で、血糖の上がり方はぐっと穏やかになります。

④ 甘い飲み物

もっとも注意したいのが、甘い飲み物です。液体は消化を待たずにそのまま吸収されるため、血糖値をきわめて急激に押し上げます。清涼飲料水(コーラなど)、フルーツジュース、スポーツドリンク、甘いカフェラテ、甘酒などが代表です。とくに空腹時にとると、血糖値スパイク(急な上昇)を強く起こしやすくなります。砂糖入りの飲み物については、その影響がはっきりと数字にも表れています。複数の研究をまとめた解析では、砂糖入り飲料を1日1〜2杯ほど習慣的に飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて、2型糖尿病になるリスクがおよそ26%高いと報告されています。「飲むお菓子」と考え、日常的な摂取は控えたいものです。

なぜ「急上昇」が問題なのか

「多少血糖が上がっても、また下がるならよいのでは」と思われるかもしれません。しかし問題なのは、血糖が急に上がって急に下がる、この激しい変動そのものです。血糖が急上昇するたびに血管の内側は傷つき、それが積み重なると動脈硬化が進み、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクにつながります。また、急上昇のあとに血糖が下がりすぎると、強い眠気や空腹感、だるさを感じ、かえって食べ過ぎを招くこともあります。血糖を「上げないこと」ではなく「急に上げないこと」を意識することが大切です。

食べてはいけない、わけではありません

同じ糖質でも食べ方の工夫で血糖の上がり方が変わることを示した対比図

ここまで血糖を上げやすい食べ物を紹介してきましたが、これらを「絶対に食べてはいけない」ということではありません。大切なのは、完全に断つことではなく、上手に付き合うことです。

血糖の上がり方は、同じ食品でも「食べ方」しだいで変えられます。空腹のときにいきなり甘いものや炭水化物から食べない、野菜などの食物繊維やたんぱく質と一緒に食べる、ゆっくりよく噛んで食べる――こうした工夫をするだけで、血糖の急上昇はかなりおさえられます。

甘いものを量やタイミングを工夫して楽しむ様子のイラスト

タイミングにも目を向けましょう。夜遅い時間の食事や間食は、その後に体を動かす機会が少なく、血糖が下がりにくいため避けたいところです。また、テレビやスマートフォンを見ながらの「ながら食い」は、つい量が増えたり早食いになったりしがちです。おやつも、だらだらと食べ続けるのではなく、時間と量を決めて楽しむようにすると、血糖への影響をおさえられます。量やタイミングを選べば、甘いものも楽しみとして取り入れることができます。我慢ばかりで長続きしないより、ポイントを押さえて無理なく続けることのほうが、血糖の安定にはずっと役立ちます。

健診で血糖値やHbA1cを指摘された方、間食や飲み物の習慣が気になる方は、当院までお気軽にご相談ください。血液検査の結果をもとに、その方の生活に合った、続けやすい工夫を一緒に見つけていきます。

参考文献

  • Malik VS, Popkin BM, Bray GA, et al. Sugar-Sweetened Beverages and Risk of Metabolic Syndrome and Type 2 Diabetes: A Meta-analysis. Diabetes Care. 2010;33(11):2477–2483.
  • Barclay AW, Petocz P, McMillan-Price J, et al. Glycemic index, glycemic load, and chronic disease risk—a meta-analysis of observational studies. The American Journal of Clinical Nutrition. 2008;87(3):627–637.