糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、最近の研究で、糖尿病は脳および認知症ににも影響を与えることが分かりました。今日は、論文を用いて糖尿病と認知症について解説します。
糖尿病は物忘れを起こしやすい
ある研究によると、糖尿病の人は、物忘れや認知症になるリスクが高いことがわかりました。
具体的には、こんな症状が出やすくなります。
- 昔のことを思い出せない
- 考える時間が長い
- 集中力が続かない
こんな症状、実は年齢のせいだけではなく、糖尿病が関係している可能性があるかもです
脳もインスリンが必要
別の研究では、脳にもインスリンが必要であり、糖尿病の人は脳でもインスリンがうまく働かないということがわかりました。
インスリンは、血糖値を下げる効果がありますが、脳の中でも必要です。新しいことを学ぶ、記憶を思い出す時に、インスリンが関係しているんです。
糖尿病によってインスリンが働かないと、脳の細胞が弱くなります。特に記憶をつかさどる「海馬」という場所がダメージを受けやすく、これが認知症を発症しやすくします。
なぜ糖尿病が脳に良くないのか
理由は主に三つあります。
1つ目、記憶力が落ちるから
インスリンは脳で記憶を作るのを助けています。糖尿病でインスリンがうまく働かないと、新しいことを覚えにくくなったり、昔のことを思い出せなくなったりします。
2つ目、血管が傷つくから
高い血糖値が続くと、体中の血管が傷んでしまいます。脳には細い血管が多くあり、そこから栄養と酸素をもらっています。血管が傷つくと、脳に十分な栄養が届かなくなってしまうのです。
3つ目、脳が炎症を起こすから
高血糖が続くと、脳で「炎症」が起きます。炎症が起きると、認知症の原因となる物質が脳にたまりやすくなります。
認知症にならないために、4つの対策
1. 血糖値をしっかり管理する
これが一番大切です。病院で定期的に検査を受け、医師と相談をしてみてください。薬をきちんと飲み血糖値を正常化させることで、脳を守ることができます。
2. 毎日少しでも歩く
運動をしましょう!具体的には、一日30分の散歩でも効果があります。運動は血糖値を下げるだけでなく、脳の血流もよくなるので、脳を元気に保ちます。
3. 野菜中心の食事にする
野菜を多く食べ、魚や豆類を積極的に取りましょう。甘いものや揚げ物は控えめにしてください。
4. よく眠る
睡眠不足は血糖値を上げやすいことが分かっています。毎日7時間くらいの睡眠を心がけましょう。
希望を持って
糖尿病と診断されても、まだできることがあります。あきらめずに、血糖値をきちんと管理し、健康的な生活を送ることで、脳の健康を守ることは十分に可能です。大切なのは、今日からできることを一つずつ始めることです。
引用文献
- Biessels GJ, Despa F. Cognitive decline and dementia in diabetes mellitus: mechanisms and clinical implications. Nature Reviews Endocrinology. 2018;14(10):591-604.
- Arnold SE, Arvanitakis Z, Macauley-Rambach SL, et al. Brain insulin resistance in type 2 diabetes and Alzheimer disease: concepts and conundrums. Nature Reviews Neurology. 2018;14(3):168-181.


